長期業績レポート(SUMCO、日本軽金属、三井金属鉱業)

長期業績レポート

3436 SUMCO
5703 日本軽金属
5706 三井金属鉱業

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メモ

SUMCO(3436)はシリコンウェーハの世界シェア2位(Wikipediaによると、2013年にシェア30%)企業です。シェア1位は信越化学です。

下の写真のようにシリコンインゴッドを厚さ1mmに薄くスライスして研磨・洗浄することでシリコンウェーハができます。このシリコンウェーハの上に、集積回路が作られて半導体となります。現代のIT生活の根幹を支える製品です。

出典:SUMCO

IT機器が増えている、つまりシリコンウェーハの使用量が増えているはずなのに、SUMCOの売上は伸びていない

身の回りを見ても、10年前からIT機器が増えています。つまり、シリコンウェーハの使用量が増えているはずです。しかし、SUMCOの売上高は横ばいです。これはどういうことなのでしょうか?

シリコンウェーハの使用量は増えているが、伸びはGDP成長率程度

調べてみると、予想通りにシリコンウェーハ出荷面積は過去15年間で右肩上がりに成長しています。成長率は長期的に年率2-3%と世界のGDP成長率と大差なく、過去5年間にスマホの普及などがあったことを考えると成長率が低い気がします。

半導体の微細化で、同じ性能を持つ半導体がより少ないシリコンウェーハ面積で製造可能になった

原因の一つは、上図のように回路の集積度が上がっていることでしょう。半導体に使われる線の幅は、2005年に主流だった90nmから、現在は20nmにまで微細化が進展しています。つまり、同じ半導体を作る場合には、2次元製品なので、(20/90) x (20/90) = 従来の5%の面積に収まってしまう可能性があるのです。

付加価値の薄いシリコンウェーハは価格下落の荒波に

出典:東京エレクトロン

現在の半導体サプライチェーンにおいて、イノベーションを起こしてきたのは微細化工程だと思います。2001年から300mmの大型シリコンウェーハサイズに移行して以来、シリコンウェーハメーカー発の大きなイノベーションはなかったようです。

付加価値がないと、当然のように価格競争が始まります。その結果として、シリコンウェーハの面積あたり単価は2007年から2015年にかけて半減してしまいました。結果として、SUMCOの売上が伸び悩んでいるようです。自社の製品価格が10年で半減してしまうとは、何とも経営の難しい業界ですね。

バフェットの言葉

「厳しい業界に優秀な経営者が挑んだ場合、たいていの場合は業界の厳しさが経営者の優秀さを上回る」

Happy Investing!!

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