コロナウィルスと危機管理

日本のメディアを見ると、コロナウィルスのニュースが増えて来たと感じる。和歌山県の医師など、感染経路の分からない患者が出ていることは、危険な状態なのではないか。今回の日本政府の対応を見ていると、日本は危機管理が苦手だと感じる。日本人が気質として苦手なのかは良く分からないが、2011年の東日本大震災からの原発事故の記憶がよみがえる。

原発事故のとき、最悪のケースでは東京圏にまで放射性物質が降り注ぐ可能性があった。SPEEDAなど、情報を隠す政府。市民の不安を煽りたくないからという理由だったのかもしれないが、明らかに不安になるべき状況なのだから、そんな配慮は逆に迷惑だと思う。東京在住の外国人の友人は、原発事故の一報のあった次の日の始発の新幹線で大阪に避難していた。友人は、東京を脱出する人で新幹線に乗れないことを心配していたそうだが、実際にはガラガラで驚いたらしい。その翌日には、韓国に避難していた。確率が低いかもしれないが、起これば致命的なダメージを受ける可能性がある場合、ひとまず逃げることが正しい選択だと思う。まず過剰と思われても安全を確保してから、次の一手を考える方が良いと思う。

今回のコロナウィルス。致死率が低いようだが、正直良く分かっていない。最悪のケースは、実際には致死率が高く、日本国内で蔓延してしまうこと。まさに、確率は低いかもしれないが、起これば致命的なダメージを受けてしまう。期待値を計算している場合ではなく、まず厳しめの対応をとるべきだと思う。日本政府は武漢から日本人を帰国させる飛行機の手配が諸外国に比べて早かったが、帰国した人を隔離しなかったことに驚いた。検査も拒否して自宅に帰った人もいたと報じられていたが、むしろ国内に感染を広げてしまっているだけなのではないか。カナダでは、アメリカと同様にチャーター便は出すが、帰国者は2週間の潜伏期間の間、基地で隔離生活だ。アメリカやオーストラリアは早くから中国からの入国者を拒否した。確率は良く分からないが、起こると致命的なダメージを受けるかもしれない事態に際して、まず厳しめに対応するということが出来ている国と、出来ない国。この違いはどこから来るのだろう。

クルーズ船にしても、健康な乗員乗客まで感染者と缶詰にして感染を広げてしまった後に、下船させますと。。。いや、余計に感染を広げてしまっただけなのでは?台湾政府は、感染経路の見えない日本への渡航に「注意」を喚起している(リンク)。台湾としては当然の対応だろう。対応の初動が遅れてしまったために、今後他国からも日本に対して渡航禁止令が出るかもしれない。日本は列車ダイヤなど平常時運転が大の得意だが、その反動として、こうした非常事態の危機管理が苦手だということなのだろうか。大事になりませんように。

追記:内閣官房のHPには、次のような文章があった。「我が国において、現在、流行が認められている状況ではありません」とあるが、感染経路が分からない患者がいるのだから、流行しているのではないか?政府が本当のことを言っていないという疑心暗鬼が、不安を増幅する。さらに、流行が認められる状況になってから止める方がよほど困難なのだから、流行する前にできる限りのことをした方がよいと思うのだが。

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