カナダの最大手航空会社、Air Canada(エア・カナダ)の客室乗務員がストライキを行っており、8月16日からほぼ全便が欠航しています。出張はもちろん、夏休みの終わりの時期で旅行先から帰って来れない人など、毎日700便、13万人に影響が出ているそうです。
日本で大規模ストライキは長らく起こっていないと思いますが、有名なものは1975年11月26日~12月3日の国鉄ストライキ。高度経済成長でインフレ率が高く、賃金上昇が物価上昇に追いついていなかったのでしょう。今回のカナダも含めて、インフレ環境が大規模ストライキの前提条件になることが多いと予想しますし、そうであれば、長らくデフレ環境でストライキがなかった日本でもストライキが増えてくるのかもしれません。
エア・カナダの前回の大規模ストライキは1998年のパイロット。この時は、11日間かかったそうです。今回は解決に何日かかるでしょうか?カナダでは、運輸など必需サービスに分類される業種については、政府がストライキ解除するよう通達を出せる法律があるそうです(Section 107 of the Canada Labour Code)。今回もエア・カナダ経営陣は政府に泣きつき、労働大臣もわずか数時間後にこの通達を発表。このスピードを見て分かるのは、通達発表が既定路線の出来レースだということです。今回が違うのは、客室乗務員の労働組合が通達を無視したこと。これまでエア・カナダ経営陣は、この通達頼みでストを突破してきた黒歴史があるそうで、これを許容しているとストの意味がなく、フェアな労働協議が実施されません。それはもう許さないという労働組合の強い姿勢を感じます。
オンラインに開示されていたエア・カナダの客室乗務員の給与明細(T-4)によると、年間給与は$3.5万ドル(約400万円)。どれくいらいの頻度でフライトをしているのか分かりませんが、さすがに安すぎると思います。オープンワークでJALの客室乗務員の平均年収が450万円とありますが、カナダの物価は日本の1.5 ~ 2.0倍です。

8月17日(日)、ストライキの現場を見学するために、トロントのPearson空港に行ってきました。1万人が参加しているという規模感を感じることはできませんでしたし、空港に困った客が溢れかえっている訳でもありませんでした。