カナダは日本より治安が悪いのか?」

日本というと治安が良いというイメージがあります。最近カナダでは大型ショッピングモールの前で銃撃があって死者が出たという物騒なニュースがあったりして、確かに治安が悪い印象を受けます。カナダでは拳銃の所持には厳しい規制があり、一般的ではありません。カナダの知り合いで拳銃を所持しているという人を一人も知りません。比べて、アメリカの大学に通っていた頃、近くの商店街を歩いていても腰にホルスターを付けたおじさん(一般人)が普通に買い物をしていたり、WalmartやK-martといった大型ショッピングセンターの奥には銃器販売コーナーがあって驚いたものです。そんなアメリカから拳銃を密輸することは簡単でしょうから、カナダの銃犯罪を抑えるのは難しそうです。トランプさんはカナダから合成麻薬がアメリカに流入していると文句を言っていますが、銃器は逆流していると思います。

さて、実際の犯罪統計を見てみると、2023年の殺人事件数は10万人あたり日本が0.23人で世界最低レベル。カナダは2.25人で世界中央値レベル。殺人事件で比べた場合、約10倍治安が悪いと言えます。ちなみにアメリカは6.8人だったそうです。(参考リンク

カナダでは車両盗難が話題に上ることが多いです。近所でも駐車していた車を盗まれたという話を聞いたことがあります。2024年に日本では8400件に対してカナダでは57000件。人口あたりに調整すると、約20倍の発生率です。

最後に治安ではないですが、運転について。カナダというか、トロントの運転マナーは良いとは言えません。ウィンカーなしでの頻繁な車線変更も多く、高速道路での事故渋滞も日常茶飯事。緊張感を持って運転しています。交通事故による死亡者数は、2023年に日本が2678人に対してカナダは1964人。人口あたり約2倍の頻度です。感覚的にはもっとカナダの運転が下手だと思うのですが、トロントでの発生率はもっと高いかもしれません。

最後にトレンドとしては、カナダは30年というスパンでは横ばい。ここ10年は増加傾向。トルドー政権による移民受入れ増加の影響がどれくらいあるのか気になります。一方の日本は一貫して犯罪率が低下しているようです。世界に誇れる日本の治安の良さが維持されますように!

カナダの10万人あたり殺人件数
https://www.macrotrends.net/global-metrics/countries/can/canada/murder-homicide-rate#:~:text=Canada%20murder%2Fhomicide%20rate%20per,a%202.73%25%20increase%20from%202018.

参議院選挙結果を受けて

7月20日に参議院選挙が行われました。前評判通り、自公与党で過半数割れ、国民民主党、参政党の躍進という結果になりました。2000年代に入ってからの参議院選挙結果を集計した感想を書いてみたいと思います。

2001年に小泉首相の参議院選挙では、旧5党(自民、公明、民主、共産、社民)が合計して9割以上の議席を占めていました。それが、今回は70%以下に低下。このトレンドが続くと、3年後の参議院選挙ではさらに低下するでしょう。特に、立憲民主、共産、社民の凋落(3党合わせて87議席が47議席へ半減)が顕著です。比較すると、自民と公明はむしろよく時代の変化に耐えてきたと評価したい。社民党は土井さんの時代(1989年参議院選挙のマドンナ旋風)、民主党は菅さんの時代(2009年衆議院選挙)で自民党を上回る議席を獲得。しかし、両党とも成果を残せません。民主党政権時代は私の記憶にも残っています。政権奪取してからのプランがなかったのか、有権者の期待が高すぎたのか。2大政党制のチャンスが失われ、さらに自公(特に創価学会員の高齢化による公明党)の凋落が始まったことで、今後はますます多党化による分断が始まる予感がします。SNSなどでコアな有権者にダイレクトに意見を伝えるスタイルが普及すればするほど、多少妥協してでも連立を組んで安定政権を維持するメリットが少ないですから。

諸外国に比べるとゆっくりではありますが、若返りも進んできました。旧5党の党首の平均年齢が約70歳に比べて、新進4党の党首の平均年齢は約50歳。高齢化に伴い、高齢者の有権者数が多く優遇政策がとられやすいことから、シルバー民主主義と言われて久しいわけですが、物価高で高齢者も既存政党に不満を持ったのでしょうか?そろそろ若手にやらせてみようという流れは歓迎したい。70代というと、自分の親をイメージすればいい訳ですが、SNSもYoutubeもやってません。テレビや新聞という既存マスメディアの凋落もあり、50代政治家と発信力に差がついてきたのかもしれません。このトレンドもしばらく継続することでしょう。

衆議院選挙の歴史

https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/shuin-sanin-history/

選挙シーズンなので、衆議院選挙の歴史を調べてみました。過去40年の間に行われた衆議院選挙は13回。衆議院の任期は4年ですが解散総選挙があるため、実質約3年に1回行われてきました。評価としては自民党の9勝4敗。10年に1回ほど定期的に負けていて、これは景気サイクルとリンクしているようです。1993年はバブルがはじけ、2003年はITバブルがはじけ、2009年はリーマンショック、2024年は新型コロナからの円安+物価高。有権者の意向は足元の景況感に強く影響されるのだと思います。

もう一つのトレンドは、投票率の低下です。1980年代には70%もあった投票率が、2010年代に入ると50%台に低迷。日本経済がうまく行っているとは言い難い時期に投票率が下がっていくことが不思議です。投票率が減るほど、組織票のある自民党や公明党が優位になってしまう。有権者が自公連立を信任しているということなのでしょうか?

次に、衆議院といえば解散総選挙が常だったわけですが、過去2回は任期満了による選挙。これはたまたまなのか、トレンドなのか?トレンドだとすれば、どのような変化を反映しているのでしょうか?ときの内閣が、解散総選挙をするほど追い込まれなくなっているということでしょうか?

私は、1990年からの日本の長期低迷でほぼ一貫して政権運営してきた自民党は変わるべきだと思っています。2009年で一瞬政権交代が起きた際の民主党の政権運営がいまいちだったことは事実ですが、最初はそういうミスもあるでしょう。それでも自民党以外の選択肢を育てる必要があると思っています。野党がバラバラに戦っているうちは、与党を利するばかり。中心になるべき野党第一党がはっきりしない現在、どうすれば野党共闘できるのでしょうか?

参議院選挙について

2025年7月20日に参議院選挙が行われます。海外に住んでいても在外投票という仕組みがあり、私は最近登録できました。今週、初めての在外投票に行ってこようと思っています。投票できるとなったので、改めて政党や候補者の主張を調べてみました。いくら個人で魅力的な主張をしていても、政治は数の論理です。まずは政党の主張を比べて選び、それから個人を考えたいと思います。主な政党の主張をまとめてみました。

「物価高対策」というキーワードが目立ちますが、私には短期的な問題に思えてなりません。消費税を減らして、給付金を配ってとりあえず一息つけるのかもしれませんが、それからどうするのか分かりません。日本の生産性が上がらず、円安で輸入物価が上がって賃金が物価上昇率に劣後して実質所得が落ちていることが根本問題であり、それは減税や給付金で解決できるものではありません。目先の対先を柱にしている政党は応援できません。自民党に関してはデフレ脱却を目指して異次元緩和を行い、米価上昇を目指して減反政策を行ってきた張本人。党として目標としていたインフレ・円安になり、米価は上昇したから胸を張るのかと思いきや、そうでもなさそうで、何をしたいのか良く分かりません。

より長期的な問題として私が興味があるのは、移民政策と社会保障政策です。日本は建前上は移民を受けて入れていないことになっていますが、既にコンビニ、外食、観光業と外国人労働者なく回らないことは明らかでしょう。今後さらに労働力不足になる中、移民政策を正々堂々と議論することが必要だと思っています。現在の技能実習生の実態など、ベトナムで人材送り出し機関を経営している方のブログ(リンク)が参考になります。移民政策について正面から取り組む意思を見せているのは参政党のみ。なぜ、野党はこの分野について自民党に対立軸を立てないのか?積極的に発信している参政党の独自性が目立つ結果になり、都議選での躍進に納得。今回の参議院選でも大きく票を伸ばすと予想します。

社会保障政策については、ほとんどの政党は年金アップを掲げるのみ。高齢者に過大な年金・医療を約束してしまった上に予想以上の少子高齢化になっており、現役世代の負担が増え続けているという根本問題に切り込んでいる政党は維新の会だけだと感じます。逆に維新の会は、下のように参議院選HPのトップページから医療費削減ばかりを押し出していて、バランス感が欠ける印象です。

私が重要視する政策に取り組んでくれそうな政党は参政党だと思うのですが、元歌手のさやさんがやってくれるのだろうか。海外在住者は、国際的な日本のプレゼンス低下や物価の安さを肌で感じる立場にあります。また、日本に住んでいないため目先の政策を応援して得るものは少ない。つまり母国の長期的な繁栄を期待した投票行動に出やすいのではないでしょうか。他の政党ももう少し長期的課題への取り組みを議論して欲しいものです。

日本維新の会、参議院選HPより
https://o-ishin.jp/sangiin2025/

今回も日本企業が揃って投資に踏み切ったら市場はピークアウト

またか。日経1面のトップニュースを見てため息が出ました。コロナ禍に入ってテレワークが普及してIT需要が急拡大します。半導体工場を作るには時間がかかるため、供給を急に増やすことはできません。結果として2021年に半導体が不足して自動車の製造ラインが止まるという事態になりました。

日経新聞(2021年12月28日)

2022年末にかけて半導体不足は解消していきますが、2022~2023にかけて多くの日本企業が半導体の新工場計画を発表しました。半導体不足の状況から社内や工場の立地自治体と議論に1年ほどかかるということなのでしょうが、どうもタイミングが悪い。特に、普段は投資していない日本企業が揃いも揃って投資に踏み切るときは、石橋を叩きすぎてタイミングが遅れているため、既に市況がピークアウトしたタイミングが多いというのは、もはや法則に近い再現性の高さだと思います。「あの会社が投資したから、うちも」とお互いに相手を見ていて、実は誰も自分で考えていないように見えてしまう。当時、Laurus Investmentsというカナダの運用会社で日本の半導体セクターを調べていて、「10年ぶりの新工場建設決定」という威勢のいいリリースを見るたびに、残念ながらこの工場が竣工することには半導体サイクルは終わっているのだろうなと思っていた通りになってしまいました。

不動産開発でも似た兆候が見て取れます。オフィスの空室率が下がっても、すぐにオフィスは建設できない。計画・着工して大型ビルができる5年後くらいには景気サイクルが反転していることが多いです。人と同じ行動をして、人より儲けることはできません。景気が悪いときにこそ投資できる企業は希少です。

上海旅行(教育事情)

日本でもニュースになるほど過酷な中国の受験競争、現地で中国人ガイドを雇ってその実情を聞いてみた。まず小学校、中学校は戸籍と住所によって学校が決まる。中国では大学まで公立の方がレベルが高いそうで、小学校、中学校受験は基本的になし。高校は上海中心部の8区ごとに地区の公立高校受験があり、最後の全国大学受験へとつながる。

中国人ガイドに教育事情を知りたいとお願いしたら、中学3年生の娘さんを朝学校に送っていくところから同行できることに。このガイドさん、娘をより評判の良い中学校に通わせるために、祖母の住所を借りて学区を変更しているため、車で送迎が必要。朝7時待ち合わせて、始業が7時半と早い。そこから午後6時半まで中学校で勉強。部活ではなく、机上学習。高校入試に体育科目があるそうで、運動するのはそのため。帰宅後も午後11-12時まで勉強が続くそうだ。週2回は大学生を家庭教師に雇っているらしい。日曜は塾に朝8時から午後4時まで。土曜の少し朝が遅いらしいが、やはり勉強。学校まで送る車中で娘さんと少し話したが、疲れていると。いつまで勉強するのかと。高校に入っても大学受験に向けて勉強が続く。上海の戸籍を持っていても十分に大変そう。激烈な受験戦争の弊害として、子供のバーンアウト、自殺も増えているそうだ。中国の報道統制でなかなか表沙汰にならないのかもしれないが、現実逃避して「寝そべり族」になりたくもなるだろう。これだけの勉強量で鍛えられているから、最近中国人が日本に移住して、日本語を一から勉強した上で東京大学を一般受験して合格していると聞いても驚かない。ベースの勉強量が圧倒的に違う。

2021年に中国で営利目的の塾産業を規制する方針が発表されて上場している教育企業の株価、例えば最大手の新東方集団(New Oriental)が急落する事態になったが、現地の人に聞くと何も変わっていないとのことだ。今回のように、需給がバランスしている場所が気に入らないからと供給側だけで均衡点を調整しようとしても、まずうまく行かないということだろう。大学受験をゴールとする中国の教育システムという需要側を変えることなく、持続的な均衡点の変化はなしえない。

受験改革の一環として体育教科を取り入れたら、体育を教える塾が増えただけ。小学校低年齢の子がショッピングモールに入っているこうした塾の一つで走り方の個別指導を受けていて、その間に小太りお父さんはスマホにくぎ付けになっている姿がシュールだった。

上海旅行(戸籍制度)

中国を理解する上で避けて通れないのが、戸口(hukou)と言われる戸籍制度。日本にも戸籍はあるが、日常生活で意識をすることはない。本籍地を好きな場所に指定でき、一番多い本籍地のは東京都千代田区千代田1番の皇居というのどかな制度。それに比べて中国の戸籍は日常生活のあらゆる面に影響を及ぼしている。1950年代に農村から都市への人口移動を制限するために導入されたそうだが、今でも就労・就学の自由を制限することで移動の自由を制限する仕組みになっている。

例えば上海の戸籍を持っていないと、仮に上海に引っ越してきても行政サービスが受けられないそうだ。上海の公立学校はレベルが高いと評判だが、上海戸籍の子供しか通えない。上海の戸籍がない子供はどうするのか?戸籍がない子供が通う学校があるそうだ。医療でも、上海の戸籍がない人が上海の病院に行くと全額自己負担になるらしい。上海の戸籍があれば、半額程度は医療保険の補助がある。上海戸籍がないと、上海の不動産も購入できない。行政、教育サービスが一番発達しているのが北京や上海、杭州、深圳という4つの1級都市。ここから5級都市までランクがあり、この人たちは都市戸籍。さらに、農村戸籍もあるらしい。日本では親ガチャというが、中国では戸籍ガチャ。生まれた場所(戸籍)で、その後の将来が大きく影響されてしまう。

戸籍を変える方法はあるのか?一つは結婚。しかし、偽装結婚を防ぐために、仮に上海戸籍の人と結婚してもすぐにはもらえない。10年かかるのかな?あとは学歴。上海も優秀な人材は欲しいので、例えば復旦大学のような上海の名門大学で大学院を卒業すると、博士なら自動的に戸籍がもらえるそうだ。修士+上海での勤続年数でもOKかな?上海の知り合いの奥さんは、南部の南寧市の出身。南寧市も各省や自治区の省都にあたる二線都市だから、広い中国の中での戸籍ガチャでは当たりくじ。そこから勉学優秀で復旦大学の修士卒業して上海で就職。めでたく上海の戸籍に切り替えることができたそうだ。戸籍すごろくの頂点に位置するのが上海・北京であり、子供に引き継ぐことができる。

広い中国では、戸籍がまるで国籍のようなイメージだと感じた。日本から外国に移住するには学歴など、なぜその国に自分が必要なのかをアピールする必要がある。戸籍を切り替えるチャンスは少ない。結婚のような他力本願ではなく、自力で切り替える唯一のチャンスが大学受験。だから受験が過熱するし、親も子供の教育を全てに優先させる。戸籍制度を理解することで、中国人の行動をよりよく理解できた気がする。

上海旅行(ブランド)

上海では、ブランド品を身にまとった人が多くて驚いた。しかも、ブランド名を積極的に見せようとするのが、発展したばかりの国の特徴だと思う。Nikeの靴はもちろん、オニツカタイガーも多い。高齢者がNorth Faceを着ていることには驚いた。自分で買っているのか、子供からプレゼントされたのか?

若い女性はLui Vuittonのロゴがしっかり見えるバッグを持つ。日本でも1990年代に女子高生が背伸びして買っていたことが懐かしい。可処分所得が伸びたときに、まずはブランドを買ってみたくなる。買えるようになった自分をアピールしたくなる。だからブランド名がしっかり周りに見えることが大事。そういうフェーズにあるのだなと感じた。Lulu lemonにしろ、Arcterixにしろ、全身をブランドで固めた人が目につく。

統計をみると、2025年に中国は世界の高級品市場の25%シェア。一人あたりGDPが12000ドルで既にこのレベル。日本が34000ドル。これから経済成長が上海など大都市から内陸都市へと波及していくと考えると、一人あたりGDPが20000ドルには届きそう。世界高級品市場の40-50%シェアを占める日もくるのではないか?唯一対抗できるとしたらインドだが、一人あたりGDP2500ドルとまだ発展段階の初期ステージ。しばらくは中国頼みが続くのだろう。

グローバルブランドにとって、中国消費者は最重要だと再認識。インド人も同じようにブランド消費してくれるのだろうか?

共産党第1回会合場所の前にLululemon店舗
見たことないほど巨大なAppleとArcteryx店舗
上海若者5人全員Nikeエアフォース。制服みたいに世界中が同じファッションになっていく。

上海旅行(地下鉄)

上海には地下鉄が19本運行(1号~18号線+浦江線)していて、さらに5本(19号~23号線)が建設中。これからも毎年1本が開業するスピード感です。市内には地上を走る電車はないようです。一方、東京には東京メトロと都営地下鉄合わせて13本の地下鉄が運行しています。

地下鉄建設のピークは、東京では1960-70年代。上海では2000ー2020年代です。上海は東京に40年遅れた発展フェーズを猛スピードで追いかけているのです。1980年代に東京に生まれ育った私は、生まれた時点で既に10本の地下鉄が走っていて、生涯に3本が新規開業(南北線:1991年、大江戸線:1991年、副都心線:2008年)。40年間東京で生活した実感としては、街の景色は六本木ヒルズのような再開発で時々変わるが、首都高、環状道路、地下鉄、鉄道、水道と言った大規模インフラは全て生まれた時点で完成していて、大きくは変わらないというものです。一方、1980年代に上海に生まれていたらどうでしょう。地下鉄が全くない状態から、現在は19本。人生の中で中国自体が大きく経済成長し、上海という街も大きく変化して便利になってきたことでしょう。変化をポジティブなものとして受け止める人間が多いのではないかと推測しました。

1970-80年代の日本人が高度経済成長を経て自信に満ち溢れていた状態、ドンドン海外旅行もできるようになった状態が、今の中国なのではないか。上海は既に海外旅行してブランドを買える経済レベルにあり、これから中国内陸部に波及していくと考えると、ブランド消費や訪日観光客数における中国の影響力は、今後さらに拡大していくと感じました。

https://honkawa2.sakura.ne.jp/6900.html

上海旅行(QR決済)

4月に5泊6日で上海に行ってきました。最後に中国を訪問したのは運用会社に勤務していた2009年。その頃でも、行くたびに新しい環状線が出来るスピードに驚きました。それから15年。どれほどの変化があったのか自分の目で確かめるために行ってきました。

今回は、中国と言えばQR決済。滞在中の支払いはほぼ100%Alipay。Wechatpayは海外クレジットカードとの連携ができず、現在海外旅行者の利用できるスマホ決済はAlipay一択です。現地ではAlipayとWechatpayが2強。どこでも2つのマークやQRコードが出ていました。それ以外の決済手段は、現金もカードも利用している人をみかけません。念のために現金があった方がいいかなと日本によく旅行する友人に円と元の両替を依頼しましたが、普段元を使うことがないから手持ちがなく、なんと子供のお年玉を拝借してきて2万円と1000元を両替してくれました。

今回、現金で支払ったのは、オンラインで探したガイドへの支払い300元のみ。海外旅行者のAlipayは店舗支払限定で、個人間の振込が制限されているためです。カードで支払ったのは、ホテル代のみ。比較的高額なため、Alipayの限度額を超えてしまうことを懸念したためです。携帯電波とスマホがないと、買い物すらできません。中国全土でのスマホの普及率は一体どの程度なのでしょうか?子供のお小遣いやお買い物はどうするのか?何歳からスマホを与えているのか?インフラとしては非常に便利で、個人は盗難や紛失リスクがなく、店舗は盗難や現金取り扱いの手間がなく、政府は課税所得の把握がしやすいことが長所。停電になったら誰も買い物ができなくなるのかなとリスクシナリオを考えてしまいますが、平常時のメリットを優先しているように感じました。現金を扱わないから、店舗によってはレジがありませんでした。日本ではいまだに東芝テックなど老舗が高いレジシステムを販売し、クラウドレジが普及している段階。その先にはレジがない世界があるというのが新鮮でした。レジがない場合、客がQRコードをスキャンして金額を入力して決済すると、店舗にあるスピーカーから、「〇〇元のお支払い、ありがとうございます」とおそらく言っているであろう音声が流れて、正しい金額が支払われたことを店側確認して商品を手渡すという手順です。ちょっとした食べ物を売っている露店などでは、調理から手を放す必要がなく決済が完了するので、とても効率的です。いちいち現金を受け取ってお釣りを取ってから手袋して食材を触っている日本のやり方を見ていると、なぜ効率的な方向にいかないのかなと不思議です。現金インフラを維持することで成り立っている会社が多すぎる(レジ、銀行、現金輸送)ということなのかもしれませんが、中国の効率的なやり方が普及していくスピード感は半端ないです。そういう意味では世界一進んでいるかもしれません。私が他の国で見たことがなく、そしておそらく世界一低コストな決済文化が広がっていることは確かです。

どうやってこの2つの決済手段がインフラとなれたのか?2社寡占市場ですから、VisaとMasterCardのように超儲かっていると思います。このようなデファクトスタンダードの形成過程についてもっと学びたいです。