企業風土を変革できた日立製作所の取締役会構成

前回の投稿で、フジメディアHDの社内生え抜きとグループ企業が過半数を占める取締役構成を見て、会長と社長が辞めたくらいで企業風土が改善する可能性は低いと指摘しました(リンク)。

私が社会人になってから20年、企業風土の変革に成功した事例と聞かれたら、日立とJALと答えます。この2社の取締役構成の変遷を調べてみました。

今回は、日立です。2009年3月期、約8000億円の大赤字を出し、株主資本が2兆円から1兆円まで半減する危機に陥ります。2009年4月に社長が川村さんに交代。川村さんは当時取締役ではなく出世コースを外れていた方で、既存の生え抜き経営陣へ忖度しなくて良い立場にいました。比較すると、今回フジメディアHDの新社長となる清水さんは専務からの昇格ですから、既存経営陣路線が続きます。

取締役会の構成は以下の通りですが、2010年から激変しました。以前は過半数が日立社内+グループ企業出身者でしたが、今では社内+グループ企業はわずか25%。40%を外国人経営者が占め、彼らは日本の事情や阿吽の呼吸など全く関係なく発言してくれるでしょうから、日立の取締役会は、経営陣にとって緊張感のある場になっているだろうと想像できます。厳しい指摘もなく、シャンシャンと議案が通っていくとは思えません。取締役が株主価値の代弁者として機能するには、このような構成にする必要があると思います。

日立の復活の裏には、取締役会の構成もグローバルスタンダードに合わせて変化させてきたということが注目されて欲しいし、今回のフジメディアHDにも見習って欲しいです。海外の放送会社の経営者を取締役に入れるくらいの思い切った変化を見てみたいものです。