プロテニスとプロゴルフの賞金

最近、新聞で「アメリカプロゴルフ(PGA)のFedExCupの優勝が決まり、賞金10mm USD」という記事を読みました。ちょうどプロテニス界で一番賞金が高い全米オープンが終了したところで、こちらはシングルスの優勝賞金5.5mm USD。テニスの4大大会(グランドスラム)は5セットマッチで、試合時間は5時間に及ぶことがあります。1試合平均3時間としても、優勝までの7試合を勝つには20時間以上かかります。1試合あたりの平均ストローク数は1000回だそうです。7試合で7000回。ゴルフ大会は同じコースを4日連続で周り、パー72打ですから、プロなら大会あたり300打でしょうか。この二つのスポーツを比較すると、心拍数が上がって汗だくになっているテニス選手の方が随分大変そうだな(ゴルフの1打1打のプレッシャーはもっと強いと想像しますが)と思った次第です。怪我のリスクもテニスの方が大きそうです。

そこで、主な大会の賞金比較が上の通り。4大大会の優勝賞金総額はほぼ同等になっていました。しかし、大きく違うのがシーズンを通した成績優秀者によって競われる、テニスのATPファイナルズとゴルフのFedExCup。賞金額が2倍も違います。

プロテニス界では、賞金増額を求めて選手が発言することが増えました。ゴルフも、サウジアラビアがスポンサーにLIVという競合団体ができたことで、賞金が増額傾向にあるようです。動画やSNS時代、テレビを見てもらえる貴重なコンテンツがスポーツ生中継。賞金増額の流れが続くのか興味を持っています。

政策の副作用をイメージするのは難しい

バフェットとマンガーは、常に政策の2次、3次効果について考えるようにと言っています。政治家など短期目線(選挙)なので、1次効果ばかり宣伝する。しかし、複雑な現代社会や経済において、一つのことだけを行うことはできない。ある行動が別の結果を次々に引き起こしてしまうといういう訳です。身近な例で言えば、日本政府は物価高騰に苦しむ有権者を助けるという名目でガソリン代金に補助金を投入しています。1次効果として、ガソリン代は低く抑えられます。しかし、2次的効果として補助金支払いによって財政負担が増して金利上昇や円安につながったりして結局巡り巡って、ガソリン以外の物価上昇につながる可能性するあるわけです。

先日、トロントで日系ブラジル人の方に始めてお会いしました。ブラジルはアマゾン川上流のマナウスで生まれ育ったそうです。彼の話ではマナウスの治安が最近悪化しているそうですが、その理由に驚きました。第1次トランプ政権(2017年1月20日~2020年1月20日)で、メキシコからの不法移民や薬物流入を抑える目的で、アメリカとメキシコの国境沿いの壁を増強し、国境警備も強化しました。結果、1次効果としてメキシコからの人やモノの不正流入は減少したそうです。しかし、貧しい国から豊かな国を目指したいというのは高いところから低いところへ向かう水の流れと同じく、一か所をせき止めれば迂回路が生まれます。コロンビアからメキシコを経由して陸路で麻薬を密輸していた集団は、コロンビアからアマゾン川を下って大西洋経由でアメリカを目指すルートに変わっているそうです。中継地点であるマナウスに麻薬取引関係者が増えてしまい、治安が悪化したという流れです。そして自ら追いはぎに会う経験をした後、家族を連れてカナダ移住を決めたそうです。現実は複雑に絡み合い、思いもよらない結果を生み出していく。

都合のよい1次効果の話しかしない人の言う事は疑ってかかり、その副作用というか、2次・3次効果まで考えられるようになりたいです。

カナダ新聞の家計相談事情

Globe and Mail
2026年8月29日 B10ページ

カナダの一級紙と認知されている、Globe and Mailを紙面購読しています。週1回、実際の家族からの家計相談が掲載されます。日本の新聞との大きな違いは、(1)相談が具体的であることと、(2)記事が長いこと。紙面1ページ 読み応えがあります。

カナダの家計相談を見ていて驚くのは、資産額の大きさです。今週の相談者は、52歳、49歳、19歳、17歳の4人家族。資産額は住居(CAD1.6mm)含めてCAD5.77mm(約6.6億円)。負債は住宅ローンがCAD225,000(約2600万円)のみ。カナダの住宅価格は2022年まで過去50年以上あがり続けてきたので、その恩恵は大きいでしょう。仮に20年前(夫婦32歳、29歳)に購入していた場合、約3倍に値上がり。6千万円で購入した住宅の現在価格が1.8億円。しかし、それ以外にも約5億円の資産を気付いているのです。

Canada Home Prices
https://www.macrotrends.net/datasets/3638/canada-home-prices

現在の手取り月収は夫婦で約CAD25,000(約290万円)。世帯手取り年収は約3500万円と高額に感じます。カナダの所得税率は最高50%と低くはないので、二人合わせて年収5000万円だそうです。この家族を新聞で取り上げるということは、読者にとって参考になる、親近感を感じられる水準だという判断なのでしょうか。

相談内容は、「5年以内にリタイヤしたいが、豊かな老後資金を確保した上で十分な遺産を残せるか」というもの。彼らの定義する豊かな老後とは、毎年1200万円(インフレに合わせて増加)使える状態だそうです。日本のメディアで、老後資金が2000万円で足りるか足りないかと議論していますが、議論の前提(どのような老後を送りたいか)や金額水準が違いすぎて、面白いなと思いました。